「多能工って難しい?」──不安を感じる人こそ知っておきたい現場のリアル

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建築の世界で「多能工(たのうこう)」という働き方が注目されています。一人で複数の工程をこなす多能工は、現場の流れを整え、人手不足の今の時代に欠かせない存在とされています。けれども、この言葉に初めて触れた方や、現場で職人として働いている方の中には、「なんだか難しそう」「本当に自分に務まるのかな」という不安を抱く人も多いのではないでしょうか。


実際、多能工というのは、ただ“なんでもやる”人ではありません。それぞれの作業に確かな品質を保ちつつ、全体の工程を意識して動けるスキルが求められます。そのぶん責任も重く、簡単に目指せるわけではないという印象が生まれるのも無理はありません。


けれども、その「難しそう」というイメージが、実は誤解からきている場合もあります。本当に難しいのはどんな部分なのか、そしてどうすれば乗り越えられるのか。この先のセクションでは、多能工の現実を丁寧にひもときながら、「難しい」だけではない、多能工の実像とその価値について考えていきます。




多能工はなぜ「難しそう」と思われるのか

多能工に対して「覚えることが多くて難しそう」「ミスが許されないプレッシャーがある」「結局、何でも屋にされるんじゃないか」といった印象を持つ人は少なくありません。こうした不安には、いくつかの背景があります。


まず、習得すべき作業が複数あるという事実。軽天、ボード貼り、塗装、床仕上げなど、分野をまたいで仕事をこなすには、確かに相応の知識と経験が必要です。加えて、工程の前後を理解しながら動く必要があるため、「ひとつ覚えればOK」ではないという難しさもあります。


また、現場での責任の重さも、多能工を「難しい」と感じさせる要因です。作業のつなぎ目を担うことが多いため、他職種との連携や段取り調整が求められます。その結果、「何かあったら自分のせいにされるのでは」と感じ、躊躇する人もいます。


さらに、職場環境によっては、多能工の役割が明確に定義されておらず、「人手が足りないから何でもやらされる」と誤解されてしまうケースもあります。実際には、信頼される多能工ほど、現場からの尊敬を集めているのですが、その実情が見えづらいために“難しそう”という印象が独り歩きしてしまうのです。




難しいのは「技術」より「考え方」かもしれない

多能工として働くうえで、確かに技術力は欠かせません。しかし、多くの職人が最初につまずくのは、作業そのものよりも“考え方”の部分です。つまり、「自分の役割だけに集中する」のではなく、「現場全体を見て動く」という視点への切り替えです。


たとえば、ボードを貼る作業ひとつとっても、前の工程がどう進んでいるか、次に誰がどんな作業をするのかを考慮に入れて手を動かす必要があります。これは、現場全体の流れを理解し、段取りを逆算して動く習慣が身についていないと難しく感じるかもしれません。


また、誰かの“補助”ではなく、自ら考えて判断し、主体的に動く姿勢も求められます。そのため、指示待ちの姿勢が染みついていると、最初は戸惑う場面もあるでしょう。ですが、この視点を一度身につければ、自分の仕事がどう価値を生んでいるのかを実感できるようになり、働く手応えも変わってきます。


実はこの「現場全体を見て動く力」こそ、多能工の本質ともいえます。それは、いきなり完璧にできるものではありません。先輩の動きを観察し、教わりながら一歩ずつ身につけていくものです。「難しい」と感じるのは、そこに成長の余地がある証拠。だからこそ、挑戦する価値があるのです。




現場の声:最初にぶつかる壁とその乗り越え方

実際に多能工として働き始めた職人たちの中には、「最初は正直つらかった」と口にする人もいます。多くの作業を覚えるプレッシャー、ひとつの作業を丁寧にこなしたい気持ちとの葛藤、そして、思うようにいかない焦り。これらは誰もが一度は通る道です。


最初にぶつかる壁としてよく聞かれるのは、「優先順位のつけ方が難しい」という声。たとえば、下地処理とボード貼り、どちらを先に進めるべきか、他職種との工程が重なったときにどう調整するかといった判断は、現場経験が浅いと迷う場面が多くなります。


次に、「他の職人との関係づくり」。多能工は複数の作業をまたぐため、さまざまな職種の人と関わる機会が増えます。だからこそ、丁寧なやりとりや、現場全体の雰囲気を読む力が重要になります。自分の作業ばかりに集中してしまうと、協力体制を築けず孤立してしまうことも。


こうした壁を乗り越えるには、「完璧を目指す」のではなく「まずはできることから確実にやる」姿勢が大切です。わからないことは早めに聞く、作業の背景を理解するために現場を観察する、職人同士でコミュニケーションをとる。基本的なことのようでいて、これを丁寧に積み重ねることが、自信と信頼につながっていきます。




学びやすい職場環境とは?成長を支える制度と風土

どれだけ本人に意欲があっても、それを支える環境がなければ、多能工としての成長は難しくなります。とくに未経験からスタートする場合、最初の数か月で仕事に対する印象が決まってしまうことも少なくありません。


多能工として育っていくために必要なのは、まず「段階的に学べる機会」です。いきなりすべてを任せるのではなく、一つずつ丁寧に教え、現場での経験を通じて理解を深められるような体制。次に、「教える人の質」。技術を言葉にして伝えられる先輩や、成長を見守る姿勢を持った職人がいるかどうかが、その会社の風土を決定づけます。


もうひとつ大切なのは、「ミスを許容できる雰囲気」です。もちろん、建設現場におけるミスは安全にも関わる重要な問題です。しかし、未経験者にとっては、“できない”ことそのものより、“できないと言い出せない”空気の方が恐怖になります。だからこそ、安心して学べる関係性づくりが欠かせません。


イデアコンストラクションでは、現場ごとに段階的な教育と指導を行い、職人がスキルと自信を持てるような育成に力を入れています。多能工を育てるのではなく、「一人ひとりが誇りを持って働ける職人になること」を何より大切にしている会社です。


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難しいからこそ価値がある──イデアで多能工に挑戦する理由

「難しい」と感じるのは、そこに本気で向き合っている証です。多能工という働き方には、たしかに技術の壁、判断の壁、人との関わりの壁があります。しかし、それらをひとつずつ越えていく中で、自分自身の成長を実感できる瞬間が必ず訪れます。


現場で信頼され、仲間から「いてくれて助かる」と言われるようになる。それは、決して一朝一夕に手に入るものではありませんが、確かな経験の積み重ねの中で、少しずつ形になっていきます。多能工の価値とは、技術だけでなく、「現場を前に進める力」を持っていること。そしてその力は、どんな経験値の人でも、意志さえあれば育てていけるものです。


イデアコンストラクションでは、そんな「挑戦したい」という気持ちを歓迎しています。最初は誰でも初心者です。だからこそ、学ぶ環境と寄り添う仲間が必要なのです。


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