建設業界に興味を持って調べてみると、たくさんの専門用語に出会います。
中でも「施工管理」と「現場監督」、あるいは「ゼネコン」と「サブコン」といった言葉は、頻繁に目にするのではないでしょうか。
これらは似ているように感じられるため、違いが分からずに混乱してしまう方も少なくありません。
しかし、これらの言葉の意味や業界の基本的な仕組みを理解することは、あなたがこれからどんな働き方をしたいのか、どんなキャリアを築きたいのかを考える上で、とても大切な第一歩となります。
この記事では、そんな少し複雑に見える建設業界の基本構造と、それぞれの言葉が持つ本当の意味を、一つひとつ丁寧に解き明かしていきます。
読み終わる頃には、きっとあなたの頭の中もスッキリ整理されているはずです。
結論:役割はほぼ同じ。ただし「施工管理」は業務、「現場監督」は役職を指す
まず、多くの方が疑問に思う「施工管理」と「現場監督」の違いから見ていきましょう。
結論から言うと、この二つが担う役割は、ほとんど同じです。
では、何が違うのか。それは、言葉が指し示す対象です。
「施工管理」というのは、工事を計画通りに進めるための「業務そのもの」を指します。
前回の記事で解説した、品質・原価・工程・安全の4つを管理する、あの仕事内容のことですね。いわば「仕事の種類」を表す言葉です。
一方、「現場監督」というのは、その施工管理という業務を行う「人」や「役職」を指す言葉です。
ちょうど、「料理」という業務と、それを行う「料理人」という役職の関係に似ています。
ですから、「現場監督の仕事は、施工管理です」というのが、最も正確な表現といえるでしょう。
ただし、実際の現場や企業の求人情報などでは、この二つの言葉はほぼ同じ意味で使われることがほとんどです。
あまり難しく考えすぎず、「どちらも、工事全体を取り仕切る仕事のことなんだな」と理解しておけば、まずは十分ですよ。
発注者から直接請け負う「ゼネコン」、専門工事を担う「サブコン」
次に、建設業界の構造を理解する上で欠かせない、「ゼネコン」と「サブコン」について解説します。
この二つの関係性が分かると、業界の全体像がグッと見えやすくなります。
ゼネコン(総合建設業者)
ゼネコンとは「ゼネラル・コントラクター」の略で、日本語では「総合建設業者」といいます。
マンションの建設や、大規模な商業施設の開発などを計画している発注者(お客様)から、工事全体を直接請け負うのがゼネコンです。
プロジェクトのリーダーとして、予算の管理から建物の完成まで、すべての責任を負います。
そして、工事をスムーズに進めるために、様々な専門分野の会社に仕事を発注し、それらの会社をまとめる役割も担っています。
サブコン(専門工事業者)
サブコンとは「サブ・コントラクター」の略で、日本語では「専門工事業者」です。
ゼネコンから依頼を受けて、工事の一部分を専門的に担当します。
例えば、建物の電気配線を専門に行う「電気工事会社」や、空調や水道の配管を担当する「設備工事会社」などがサブコンにあたります。
それぞれの分野で、高い技術力と専門知識を持ったプロフェッショナル集団といえるでしょう。
このように、ゼネコンが全体の指揮を執り、その指示のもとで様々なサブコンが専門性を発揮する。
この協力体制によって、一つの大きな建物がつくられているのです。
あなたはどっち向き?ゼネコンとサブコンで働くメリット・デメリット
ゼネコンとサブコン、それぞれの役割がわかったところで、次は「働く場所」として考えた場合の違いを見ていきましょう。どちらにも魅力と、知っておきたい側面があります。
ゼネコンで働く魅力と大変さ
ゼネコンで働く一番の魅力は、やはり社会のランドマークになるような、大規模なプロジェクトに携われることでしょう。街のシンボルとなる超高層ビルや、巨大な橋、トンネルなど、工事全体の司令塔として「自分がこれを動かしている」という大きな手応えを感じることができます。
一方で、担当する範囲が広い分、建築や土木に関する幅広い知識が求められます。また、全国各地に現場があるため、転勤が多くなる傾向にあることも知っておくとよいでしょう。大きな責任を伴いますが、その分やりがいも大きな仕事です。
サブコンで働く魅力と大変さ
サブコンで働く魅力は、電気なら電気、設備なら設備と、特定の分野における「専門家」を目指せることです。一つの技術を深く掘り下げ、誰にも負けない知識とスキルを身につけることができます。比較的、勤務地が特定のエリアに集中していることが多く、地元に根差して働きたいという方には合いやすいかもしれません。
一方で、工事の一部分を担うため、プロジェクト全体像が見えにくいこともあります。また、元請であるゼネコンの工程に合わせる必要があるため、スケジュールの調整で苦労することもあるかもしれません。専門性を高めたい方にとっては、非常に魅力的な環境です。
【第3の選択肢】元請の現場で、専門性も持って働くという新しいキャリア
ゼネコンか、サブコンか。これまでは、その二つから選ぶのが一般的でした。
しかし今、建設業界では新しい働き方が生まれています。それは「大手ゼネコンが手掛ける大規模な現場で、元請に近い視点を持ちながら、同時に専門性も磨いていく」という第3の選択肢です。
これは、どういうことでしょうか。
世の中には、大手ゼネコンのパートナーとして、その建設プロジェクトを専門的な技術で支える会社が存在します。
そうした会社では、例えば、現場監督の業務をサポートする専門家として、複雑な施工図の作成を手伝ったり、高度な品質管理の検査を代行したりします。
また、現場全体の資材や人の流れを管理する、といった特殊な役割を担うこともあります。
このような働き方では、大規模プロジェクトの一員として、ゼネコンの監督と同じように工事全体を見渡す広い視野を養うことができます。
それと同時に、特定の分野における高い専門性も身につけることが可能です。
ゼネコンの「ダイナミズム」と、サブコンの「専門性」。
その両方の魅力を、バランスよく経験できる。そんな新しいキャリアの形が、今、注目され始めています。
こうした働き方が、具体的にどのような現場で実現されているのか、こちらの実績紹介もぜひご覧になってみてください。
まとめ:業界構造の理解が、あなたらしいキャリアを選ぶ第一歩
今回は、建設業界でよく使われる言葉の意味と、その基本的な構造について解説しました。
「施工管理」と「現場監督」はほぼ同じ役割を指す言葉であり、「ゼネコン」がプロジェクト全体を、「サブコン」が専門分野を担うことで、一つの建物が完成するという関係性をご理解いただけたかと思います。
大切なのは、どちらが良い、悪い、ということでは決してない、ということです。
大規模なプロジェクトを動かすことに魅力を感じるか。一つの技術をとことん極めることに喜びを見出すか。あるいは、その両方の視点を持ちながら成長していきたいか。
どの道を選ぶかは、あなた自身の興味や、将来どんな自分になりたいかによって決まります。
今回、業界の仕組みを知ったことで、あなたは自分らしいキャリアを考えるための、大切な地図を手に入れました。
もし、この記事を通じて、大規模な現場の視点と専門性の両方を高めるという働き方に少しでも共感をいただけたなら、ぜひ一度、私たちにお話をお聞かせください。